1枚の絵からはじまった、協立ビルのまちづくりの原点——定禅寺通という未来図
いま協立ビルが定禅寺通を中心に進めている、まちづくりの取り組み。
その原点をたどると、意外なほどシンプルな“はじまり”に行き着きます。
それは、たった1枚のイメージ図でした。

この絵に込めたのは、「日常の定禅寺通を、もっと豊かにしたい」という想い
この絵が描かれた2016年当時、思い描いていたのは“イベントの日だけ賑わう通り”ではなく、日常的に定禅寺通を楽しめる環境でした。
歩道が拡がり、道路に面する1階には、CAFEやレストラン、SHOPなど個性豊かなローカル店舗が並ぶ。
ケヤキ並木を望むオープンデッキでは、東北の食材を活かした食事をゆったり楽しめる。
車道側には自転車レーンが整い、歩道は子どもや高齢の方も安心して歩ける。
ペットの散歩の途中にパークレットでひと息つき、定禅寺通を抜ける風や緑に癒される——。
杜の都・仙台のシンボルロードである定禅寺通が、暮らしの中で自然に使われ、過ごされる。
そんな風景を起点に「まちの価値は、日常の体験から育つ」と考えるようになりました。
「建物の中」だけでなく、「街の中」で価値をつくる
協立ビルでは以前から、建物単体の魅力づくりだけでなく、敷地の周辺環境を含めて街の価値を高めることが、結果として事業にもつながるという視点を持ってきました。
一方で、当初は誰かと組んで「まちづくりを進める」という強い意識があったわけではなく、イベントなどを通じて街に人が集うきっかけをつくる、といった取り組みが中心でした。
そんな中、ひとつの出来事が、当社の視点を“街の議論”へとつなげていきます。
きっかけは「せんだいリノベーションまちづくり」との出会い
転機となったのは、仙台市が推進していた「せんだいリノベーションまちづくり」に関する報道に触れたことでした。
当社としても「この動きは、定禅寺通にとって大切な挑戦ではないか」と感じ、行政側へ連絡を取ったことから、関係者との対話が始まります。
この対話を通じて、大きなヒントになったのが、都市・地域経営の分野で提唱されている考え方です。
「敷地に価値なし、エリアに価値あり」——価値の順番を見直す
まちづくりの文脈でしばしば語られるのが、「敷地に価値なし、エリアに価値あり」という言葉です。
建物の価値を高めることは大切です。しかし本質的には、エリアの魅力が高まることで立地の価値が上がり、その結果として建物の価値も上がる。
価値の順番を見直したとき、協立ビルができることは「建物の中の整備」だけではない、と考えるようになりました。
“言葉”を“共有できる未来”に変えた、1枚の絵
まちの未来像は、言葉だけでは共有が難しいものです。
そこで当社では、社員が描いたラフスケッチを起点に、イメージをさらに広げるため、まちづくりを通して出会った仲間に依頼し、現在の「定禅寺通の1枚絵」が形になりました。
絵ができたことで、目指したい風景が「共通言語」になります。
■どんな店が並ぶと、通りが生きるか
■どんな滞在の場があると、歩道が“使われる”か
■建物の1階が街に開くと、どんな回遊が生まれるか
抽象だった構想が具体化し、社内外で「この方向に進めよう」と合意しやすくなりました。

1枚の絵が、仲間と仕組みを連れてきた
エリアの価値を上げることは、1社だけでは成り立ちません。
そして「収益性」だけを目的に掲げても、持続的な協力関係は生まれにくいのが現実です。
だからこそ協立ビルでは、共通の価値観のもとで連携できる土台づくりを重ねてきました。
その流れの中で、定禅寺通周辺での協働の枠組みが育ち、ストリートアライアンスやJSAM(定禅寺通エリアマネジメント)など、実行体制につながっていきます。
「せんだいリノベーションまちづくり」との出会いから、官民連携の実践へ
協立ビルのまちづくりは、仙台市が推進した「せんだいリノベーションまちづくり」との出会いをきっかけに、官民連携の視点を持ちながら進んできました。
■2016年:せんだいリノベーションまちづくり実行委員会(不動産オーナータスクフォース)に参画
■2016年:せんだいリノベーションまちづくりスクールにて、定禅寺ヒルズ屋上を“有休不動産”として提供し、提案された利活用案を採用
この取り組みは、その後、制度や枠組みが変化していく中でも途切れることなく、当社の活動の土台として残り続けています。協立ビルは現在も、行政・近隣オーナー・地域の担い手・テナントの皆さまと連携しながら、エリア全体の価値を高める取り組みを独自に継続しています。
既存ストックの活用と、道路・公園など公共空間の利活用を同時に進め、エリアの魅力を“日常の体験”として育てていく。
“ハコモノを建てる”だけではなく、“コンテンツを育てる”ことへ。
こうした考え方が、協立ビルのまちづくりの背骨になっています。

そして現在。ビルオーナー×テナント×行政の動きが重なり始めた
この1枚絵に描いた風景は、いま少しずつ現実の動きと重なり始めています。
協立ビルオーナーとテナントがともに取り組む店舗づくり・誘致が進み、たとえば定禅寺ヒルズ1階「おむすび東雲」さんの誘致など、通りのプレーヤーが増えてきました。

また最近は、仙台に100年以上根を張る老舗企業も、ほぼ同時期に定禅寺エリアへ出店しています。カネサ藤原屋による音楽と食を融合したライブレストラン「J’z」の新規オープン、福田商会によるフレンチ「altea」の新規オープン、そしてイタリアン「GLICINE」のアクアイグニス仙台から定禅寺通エリアへの移転オープン。長く地域で事業を続けてきた担い手がこのエリアで新しい挑戦を重ねていることも、いまの変化を象徴しています。
同時に、仙台市による歩道拡張などハード整備が進み、新たな店舗のオープンやイベントの開催、歩道の広がりといった街の変化が、目に見えるかたちで現れてきました。それに伴い、通りに滞在し、楽しむための仕掛けも少しずつ増えています。歩道が拡がることはゴールではなく、「どう使われ、どう過ごされるか」が本番です。
協立ビルはこれからも、建物の運営とまちの価値づくりを地続きのものとして捉え、地域の皆さまとともに、定禅寺通の“日常の魅力”を育てていきます。
